2014年12月1日月曜日

『福栄地域生涯学習活動発表会・作品展』にて~11.22~23

そろそろ冬の足音が聞こえてきそうな11月の後半、紫福の福栄農業担い手育成センターで開催された『福栄地域生涯学習活動発表会・作品展』に参加しました。

会場の窓から外に目をやると周辺には稲刈りの終わった田圃が広がり、赤や黄色に色づいたきれいな紅葉を愛でつつの二日間。
幸い両日とも天候に恵まれ冬間近とは思えない小春日和の中、園児・児童たちをはじめ地域の皆さまの学習発表の場ということで老若男女多くの方々にお越しいただきました。

この展示では民俗学者・宮本常一と、萩市の写真家・角川正治(まさじ)両氏がおよそ半世紀前に撮影したものを使用しました。
宮本写真は昭和43~44年の「阿武川ダム水没緊急調査」に調査団の一員として参加撮影した際のもの、一方角川写真は「川上を第二のふるさと」と口にするほど川上・福栄地域に強い思い入れがあったようでダム建設工事の様子をはじめ多くの枚数が遺されています。
それらを活用して「ダム建設工事」「里の風景」「ダムにより消えたムラ」等の展示を行いました。
 

気になるお客さまの反応ですがやはり「懐かしい」のひと言に尽きるようです。
少しこちらから水を向けただけで蹟を切ったようにあれこれと次々お話くださる方が多く、「話したい」「この想いを伝えたい」そんな気持ちがひしひしと伝わってくるようでした。

今回も来場のお客さまからいろんな情報をいただきました。
新たにわかったことにはそれを記入した付箋を貼りつけていきます。


そんな中、この日一番の収穫の話をひとつ。


一枚の写真の前で「これはどこかの神社から移築されたものなのですよ」と会場の職員さんのひと言。
ではそれはどこの神社かということで、福栄村史を持ち出して調べてくださるも結局神社の名前はわからずじまいで終わるのかと思われた終了間際、別のお客さまから「それはあの神社ですよ」と指さされたのは神社への長い石段と鳥居の写真。
それはダムの底に沈んでしまって現在は見ることのできない風景です。



2010年11月より阿武川ダム湖の湖面から壮大な自然景観を眺める「萩・長門峡観光遊覧船」が運行されています。
その際、ダム建設のため地元を離れた方をお招きしての招待運航があり、「かわかみふるさと祭り」での写真展を前に「プレふるさと祭り」のような小さな写真展をし、私たちも特別にその遊覧船に乗せていただきました。
この日は湖水の量が少なかったので神社への長い石段がきれいに姿を現していました。
 当時のブログはこちら→http://machihaku.exblog.jp/12296925/


展示終了後の帰途、少し寄り道して金石山八幡宮に出向きました。
この日は勤労感謝の日で本殿には日の丸が掲げてありました。
現地に赴き確認すると、本殿の写真を貼るべきところをこちらの手違いで左の移築された方の写真を貼ってしまっていたことが判明。
とは言え、違う写真を貼ってしまったことで「水没するのが偲び難くこの地に移築された本殿」とのありがたい情報をいただき、これはこれで結果オーライと思っていいでしょうか。


この二日間100名を超えるお客さまにお越しいただき、班員一同感謝の念に堪えません。
地域の学習発表会に出展の機会をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。

「こういう昔の写真を見ていろいろ思い出すことはとてもええことなんよ」とお仲間に力説しておられるご婦人の姿に、我々が目指していることがまさにそれなのだと意を強くしました。
数年前から写真を使った「回想法」を意識しています。
引き出しの奥に古いアルバムが眠っていませんか?
「古い写真を見て想い出を語る」このシンプル且つ単純な「想い出語り」、もっともっと浸透することを願ってやみません。
と同時にこんなにも喜んで下さる皆さまの姿に今後もこうした小さな活動を積み重ねていきたいものです。