2016年6月6日月曜日

初夏の一日 「浜崎おたから博」に参加~5.22

風薫る五月、今年も「浜崎伝建おたから博物館」の季節がやってきました。
さわやかなまたとない好天に恵まれ、浜崎かいわいは大勢の人出でにぎわい、初夏の一日を楽しまれたようです。


江戸時代・明治・大正・昭和初期の伝統的建造物が約130棟も残され、伝統的建造物群保存地区に指定されている浜崎で、古い家並みを歩きながら、開放された旧家に展示された代々伝わるお宝をご覧いただけます。萩市観光協会公式サイトより)

このイベントも回を重ね、今年で第十九回目を迎えます。
国の重要伝統的建造物群保存地区の浜崎地区を舞台に、家々に展示された自慢の「おたから」や歴史ある建物をご覧いただくとともに、海の幸をはじめとする美味しい物や数々の催しありの楽しいイベントです。(萩市HPより一部抜粋)





今年の古写真班のパネル展示「萩城下町絵図」「米軍撮影の萩三角州の航空写真」「夏みかん畑の分布図(1952年)」
写真展示は3月のブログでもお知らせしたように『「萩」再発見・2016』を用意しました。



来場者からおお~っと驚きの声が上がったのが終戦直前の1945年(昭和20年)7月5日、米軍撮影の萩三角州の航空写真です。
上空30000フィート以上の高空から撮影された大変高精細なものです。

太平洋戦争末期、日本の主要都市や軍事拠点をほぼ破壊し終えた米軍は、続いて日本の中小都市の爆撃を計画します。
戦争の継続を、より困難にさせるという目的です。
その際、人口を基準に180の都市が目標としてリストアップされます。
実は、その攻撃目標180都市のリストの157番目に、「Hagi」が掲載されています。
そうです、萩は攻撃目標の一つだったのです。
それ故に、先にご紹介した偵察写真が撮影されているのです。
しかし幸いなことに、萩の「まち」は、敗戦により爆撃を免れました。

城下町萩のひみつの7 ~ 大きな災いを被らなかった「まち」 ~より
http://hagihaku.exblog.jp/25368307/



「戦争がもう少し長引いたら萩の町も爆撃を受けていたかもしれませんね」
「朝起きてご飯を食べてという、昨日と同じ普通の暮らしがおくれる現在に感謝しないといけませんね」
この写真をながめつつ、ひとりのご婦人が口にされた言葉です。
おりしも、伊勢志摩サミットで来日予定であったオバマ大統領の広島訪問が連日報道されていた時期でもあり、改めて戦争のない平和な日常の意味を考えたひとコマでした。




桜のつぼみがほころびかけた頃、当班担当学芸員のS副館長の依頼で『「萩」再発見』の活動に取り組んでいる旨を記しました。
1999年に撮影された「萩」の現在をたどる新旧対比の今昔写真です。




この冊子の撮影箇所は200を超えています。
それぞれの現在をたどるため分担して写真を撮りに出向き、各自が持ち寄った写真を見比べ、旧写真に最も忠実に撮影できているものを選び出し、新旧対比の今昔写真を作り上げていきます。
今回「浜崎おたから博」に参加ということで、『「萩」再発見』の中から≪浜崎・北古萩編≫だけをご来場の皆さまにひと足早くご覧いただくことにしました。




浜崎地区は2001(平成13)11月に伝統的建造物群保存地区に指定されています。
電柱の地中化が進み街並みがすっきりして見える他はほとんど15年の歳月を感じさせません。


「本当に変わっていないのですね~」と、驚きを持って見られるお客さまが多かったようです。

それと同時に長い年月変わらずそれを維持管理し続けることの困難にも話が及びました。




今回、浜崎のにぎわいを感じられる他の古い写真も用意していたのですが、こちらの手違いがありパネルの都合上貼れずじまいで枚数的に少々淋しい展示になってしまいましたこと、お詫び申し上げます。
汚名返上ではありませんが来年度の「浜崎おたから博」に向けて新たなアイディアも浮かび、S副館長からも前向きな回答を頂戴しており、次回にこうご期待といきたいところです。


昨年同様、今年もここで燕の巣を見つけました。
いつもは静かな環境で燕の父さん母さんたちが一生懸命子育てをしているのが、日頃と違うにぎわいに多少の警戒を見せながらも外と巣を行ったり来たり~。
かわいいヒナをあたためているのでしょうか。
そんな様子に少しだけ心もふんわりあたたかくなりました。
来年も成長した燕のヒナ同様、私たちの活動も少しずつでも大きく広がっていくことを願っております。




萩まちじゅう博物館 学芸サポート・古写真班 YT


追 記
『「萩」再発見・2016は引き続き取り組み中です。
今回「浜崎おたから博」に参加のため、「浜崎・北古萩編」のみ急ピッチで完成させました。
他の地域もこれから随時日の目を見る予定です。

開催時期や場所等は現時点では全く決まっておりませんが、その際にはぜひ足をお運びくださいますようお願い申し上げます。


萩」を再発見していただくために

この小冊子を手に
萩の町を歩いてみませんか。

様々な季節、様々な時間帯に
萩の町の豊かな歴史文化と自然の中で
しばらく足を止めてみませんか。

何か新鮮な驚きが
あなたを待ちうけているかもしれません。

この小冊子は
長い年月を経て培われてきた
萩の町のたたずまいを紹介するためにまとめました。

天然色の萩の町を
あるがままの萩の町を
あなた自身の心と体で感じ取ってみて下さい。

1999年秋の日
萩市教育委員会


『「萩」再発見』より