ここに一冊の小冊子があります。
当時の萩郷土博物館が編集し、萩市教育委員会が発行したものです。≪平成11年(1999)10月発行≫
萩城下町絵図を始め、指定文化財や景観要素の分布図、そして広域合併前の旧萩市の三角州内の200箇所を超える数の写真がキャプションとともに掲載されています。
私たち「NPO萩まちじゅう博物館 学芸サポート・古写真班」の担当学芸員である萩博物館S副館長の手によるものです。
ページをめくるたびに萩の町が広がり、まさに丸ごと萩が詰まっているようです。
そのS副館長より『「萩」再発見』の現在をたどって欲しいとの要望を受け、古写真班恒例の新旧対比の今昔写真に昨年末から少しずつ取り組んでいるところです。
S副館長撮影の元写真は1999年のもの、あれから15年の歳月が流れています。
「変わったところ」「変わっていないところ」「変わってほしくないところ」いつものS副館長の言葉を想いながら萩の町を巡ります。
萩に限らず全国どこでも言えることですが、代が替わり住む人がいなくなり取り壊されていく家屋の多いこと。
立派な門構えのお屋敷が宅地に変わってしまい、維持管理は大変なことゆえ、やむを得ないと承知しつつも一抹の淋しさも感じます。
前述のように撮影箇所が多いため今回は地区ごとに各自分担していますが、先日の高台からの撮影は班員5名で出向きました。
高台から見下ろす光景も、樹木の成長のみならず鉄塔が建ち元の眺望をほとんどさえぎってしまった箇所もありましたが「時の流れとともに現実を受けとめなければ」と言いつつの撮影でした。
天候不順で延期を繰り返し3度目の正直で実現したフィールドワークはまたとない好天に恵まれ、長い石段や登りに息を切らしながらも、笠山・鶴江台・田床山・南明寺観音堂・面影山中腹・玉江浦裏山の5箇所、計10枚の撮影を済ませひと安心。
イトザクラで知られる南明寺では小さなつぼみがほころびかけていました。
ちなみにこの日のフィールドワークをご存知のS副館長は、私たちに先を越されまいと出勤前にここに来て桜を確認されていたそうです。
そのブログはこちらからどうぞ⇒http://hagihaku.exblog.jp/25523439/
「南明寺のいと桜、散っちゃあ、行っちゃあ、見ちゃああっても、
咲いちゃあ、行っちゃあ、見ちゃあない」
(そろそろ咲いただろうと思って行ってみても
すでに桜は散っていた)
この取り組みの成果のごく一部を、来たる「浜崎おたから伝建博物館」にてご披露できるかもしれません。
乞うご期待!
「萩」を再発見していただくために
この小冊子を手に
萩の町を歩いてみませんか。
様々な季節、様々な時間帯に
萩の町の豊かな歴史文化と自然の中で
しばらく足を止めてみませんか。
何か新鮮な驚きが
あなたを待ちうけているかもしれません。
この小冊子は
長い年月を経て培われてきた
萩の町のたたずまいを紹介するためにまとめました。
天然色の萩の町を
あるがままの萩の町を
あなた自身の心と体で感じ取ってみて下さい。
1999年秋の日
萩市教育委員会
『「萩」再発見』より
「NPO萩まちじゅう博物館 学芸サポート・古写真班」Y・T