年末年始の帰省客で賑わう萩博物館で、萩の懐かしい写真を展示することがこの数年ほぼ恒例化しつつあります。
期間中多くの方がお運びくださいましたこと、嬉しい限りです。
今回初の試みとしてアンケートを実施してみました。
お忙しい中、足を止めてご協力いただきましたこと、お礼申し上げます。
ありがとうございました。
皆様の貴重なご意見は今後の活動に活かしていかねばと真摯に受け止めております。
さて、アンケートの集計が終わりましたのでこちらで皆さまの声をご紹介いたしましょう。
班員がお客さまに替わって代理記入した分も含め、16名の方からご協力いただきました。
まずはお客さまの年齢や居住地から。
アンケートにご協力いただいた方の年齢別グラフ
半世紀前の風景との新旧対比の写真展ゆえ、60代以上の方の琴線に触れるのでしょう。
また20代以下が多いのは、若い方は気軽にペンを持って記入してくださるのかなと思いました。
居住地は山口県内が県外の1.5倍、中でも萩市内の方がアンケート全体の半数近くを占めていました。
地元の懐かしい写真を見て「想いがあふれて思わずひと言」という流れでしょうか。
写真にまつわるエピソードもお寄せいただきました。
<浜崎魚市場>
朝セリが終ったころ、こぼれ落ちた小魚を拾って集める人がいた。
誰もとがめることなく日常の光景だったころはいつの時代だろうか。
やはり1945年以前のことだった。
おおらかだった時代が目に浮かびます。
今同様のことをしたら?と想像してしまいました。
そして当時は今よりもうんと漁獲量が多かったのでしょうね。
<沖原の六本松>
1本減り3本減り、いつの間にか松がなくなり目印が消えて風景が変わりました。
「<上津江の晴嵐>の中におぼろげな六本松の姿が浮いて見える時や山口方面からの帰り、長野の直線の道を過ぎ蛍火山を回った瞬間目の前がさーと開け六本松の向こうにお城山が見える。「萩に帰ったぞー」と云う気分を今も忘れる事ができない。」
上記は当班のY班長の言葉です。
「地元を離れるとこの六本松のあたりから見る指月山の風景に懐かしさを覚えたというのが誰しも共通の言葉」と展示の際のキャプションに記しました。
やはりこの位置から見る指月山に市民は特別な想いがあるようです。
アンケートでは「興味を惹いた写真」「萩らしさを感じる写真」についても訊いてみました。
「興味を惹いた写真」は人の数だけ回答があるようで本当に人それぞれでしたので、こちらでは「萩らしさを感じる写真」を取り上げてみましょう。
今年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」では萩が舞台になっています。
この「花燃ゆ」にも登場した二ヶ所をご紹介します。
「川島の湯川家」は大沢たかお演じる小田村伊之助が江戸からの帰郷の場面で、また「平安古の鍵曲」は同じく伊之助が「禁書を持ち込もうとした者がおる」と聞くシーンで使われていました。
見慣れた風景が映るのは地元民にとってはとても嬉しく楽しみなことです。
今後企画してほしいテーマには、「商店街・運動会・祭りなど生活感のある光景」「生活・遊びなど人々の暮らしの変遷」といった日常の生活に根付いた写真展を希望する声があがりました。
他には「萩の文化がわかるもの」「萩の今昔全体」「昭和初期から30年代頃」「旧明倫小近辺の光景」等お客さまの希望はさまざまです。
それぞれの方の趣味嗜好や大切な想い出、そんなものが見えてくるようです。
自由に記入いただく欄からは今後の改善点も見えてきました。
「アンケートのイスは低くアンケートそのものが見えにくいです」
11月の10周年記念展示の際にいただいたご意見です。
年末展示の際には長机を配置しました。
多少なりとも書きやすくなったでしょうか。
「キャプションの字が小さい」
11月後半の別の写真展では少し大き目、且つ、太字にしてみました。
今後の制作の際も心がけて参ります。
11月の10周年展示の際にも触れましたが、萩の今昔はただただ「懐かしい」のひと言に尽きるようです。
「萩の姿をもっと見たい」「お盆にもしてほしい」という「もっともっと」の声に今後どのように応えていけるか定かではありませんが、市民の貴重な共有財産である“おたから”を眠らせたままではあまりにももったいないことです。
「できる人が」「できる時に」「楽しく永く」の班のモットー同様、写真展や出前等、可能な範囲で対応していけたらと考えております。
少しでも多くの方にご覧いただく機会が増えますことを願って、本年もよろしくお願い申し上げます。
萩まちじゅう博物館 学芸サポート・古写真班 Y・T